児童手当の拡充、所得制限撤廃…岸田首相が打ち出した「異次元の少子化対策」とは

所得制限撤廃・第3子以降は「月3万円」に。2023年12月から拡充予定の児童手当をおさらい(LIMO) - Yahoo!ニュース

この記事では、岸田首相が6月13日に閣議決定した「こども未来戦略方針」の内容と、その背景や意義について解説しています。具体的には、以下の4点について紹介しています。

  • 児童手当の所得制限の撤廃と支給額の拡充
  • 支給期間の3年間延長と第3子以降の支給額の3万円化
  • 財源確保の問題と国民負担の見通し
  • 少子化対策の効果と課題

児童手当の所得制限の撤廃と支給額の拡充

現行の児童手当制度では、主たる生計者の年収が一定額を超えると、支給額が減額されたり、支給されなかったりします。これは、所得が高い家庭には必要ないという考え方に基づいていますが、一方で、働き方による不平等や児童手当の趣旨に反するという批判もありました。そこで、岸田首相は、所得制限を撤廃し、すべての子どもに一律に支給するという方針を打ち出しました。また、支給額も現行の1万5000円から2万円に引き上げるという案も示しています。

支給期間の3年間延長と第3子以降の支給額の3万円化

現行の児童手当制度では、中学校卒業まで(15歳の誕生日後、最初の3月31日まで)の子どもに対して支給されます。しかし、高校生になっても子育ての負担は減らないという現実があります。そこで、岸田首相は、支給期間を3年間延長し、高校卒業まで(18歳の誕生日後、最初の3月31日まで)の子どもにも支給するという方針を打ち出しました。また、第3子以降の支給額も現行の1万5000円から3万円に引き上げるという案も示しています。

財源確保の問題と国民負担の見通し

児童手当の拡充は、年間約3兆円の財源が必要とされます。これは、消費税の1%分に相当します。岸田首相は、財源確保の方法として、消費税の一部を児童手当に充てるという案を示しています。これは、消費税の目的税化と呼ばれる仕組みで、消費税の増税や税率の分け方には影響しません。しかし、消費税の一部を児童手当に充てるということは、他の社会保障費や歳出の削減が必要になるということでもあります。また、消費税の一部だけでは財源が足りない可能性もあります。その場合、国債の発行や所得税増税など、国民負担の増加が避けられないという見方もあります。

少子化対策の効果と課題

児童手当の拡充は、子育て世代の経済的な負担を軽減し、子どもを産み育てやすい環境を整えることができると期待されます。これは、少子化の進行を食い止めるために必要な施策の一つです。しかし、児童手当の拡充だけでは、少子化の根本的な原因である、結婚や出産の意欲の低下や、仕事と育児の両立の困難さなどを解決することはできません。そのため、児童手当の拡充とともに、幼児教育の無償化や保育所の増設、育児休業の取得促進や時短勤務の拡大、男性の育児参加の促進など、多様な施策を総合的に実施することが必要です。また、児童手当の拡充は、子どもの人権や福祉を向上させることにも寄与します。子どもの貧困や虐待、不登校やいじめなど、子どもが直面する様々な問題に対して、児童手当を有効に活用することができれば、子どもの将来に希望を持たせることができるでしょう。